2019年スマトラ島のオランウータン講演会実施レポート
(マシュ・ノヴァク氏とおらけん一同 2019.11.16SAGA22おらけんセッションを終えて 企画展示前で)
代表黒鳥です。 2019年11月のスマトラ島のオランウータン講演会は、企画展などもあわせて盛況のうちに終わることができました。 まず、講演会にいたる経緯をお話すると、 2箇所での講演会 2019年11月16日(土):日本モンキーセンター第22回SAGAシンポジウム内 2019年11月17日(日):名古屋市東山動植物園 2箇所での企画 2019年10月5日〜12月15日:企画展『スマトラ島のオランウータン展』(日本モンキーセンター内ビジターセンター) 2019年10月中旬〜11月17日:動画上映『スマトラ島の今』(東山動植物園内動物会館) 今回の講演会や企画展が、彼らの魅力を知り、より身近に感じ、その現状へも興味をもっていただける機会になり、日本でスマトラ島のオランウータンや現状がひろまるきっかけになりましたら、関係者一同にとってなによりの喜びです。
ご参加いただいた皆様まことにありがとうございました。
そして共催・協賛で実施に尽力いただいた皆様、各団体、企業の皆さまにも心からお礼申し上げます。
また、講演会・企画展は公益信託地球環境日本基金の助成をうけて実施いたしました。深く感謝いたします。
私たちは2019年2月にスマトラ島を視察しました。(おらけんメンバーや各地の飼育担当者など総勢13名で訪問)
スマトラオランウータン・タパヌリオランウータンの生息地を訪問、また現地関連団体(SOCP・OIC)を訪問し、現地の雰囲気と現状を肌で感じてきました。
現地を訪問してわかることは多々あり、日本であまり知られていないスマトラ島と、スマトラ島に生息するオランウータンの事をもっと広めたいという想いを強くしました。
そして、今回のスマトラ島訪問で縁を得た、研修者のマシュー・ノヴァク氏が日本招待に応じていただき、この講演会が実現することになりました。
以下の内容で実施しました。
聞いたり、見たりしたことをぜひ身近な皆様にもお伝えいただけたらと願っています。
また今後とも、スマトラ島やスマトラ島のオランウータン達に関心をもっていただけるような活動を少しづつでもすすめていけたらと思っています。
皆さま、ぜひ今後とも興味と関心をおよせください。
(2019年11月16日黒鳥講演スライドより)
講師紹介
マシュー・ノヴァク氏(PanEco財団所属)
マシュー・ノヴァク氏は10年以上に渡り東南アジアの野生の類人猿の生態を研究、近年はスマトラ島北部でテナガザルやオランウータン等の研究をしています。
SOCP(スマトラオランウータン保全プログラム)に所属し保全活動にも力を注いでいます。一昨年新種と認定されたタパヌリオランウータンをはじめとするスマトラ島に生息する類人猿の研究とともに、野生生物と人間の軋轢など現地の事情や保全について活動されています。
SOCPについて…
SOCP(Sumatran Orangutan Coservation Programme)は、PanEcoなど長年スマトラオランウータン保全に実績のある団体などが
複数あつまり、スマトラオランウータン及びタパヌリオランウータンのリハビリテーション事業・研究事業などを行っているプロジェクトの総称です。
事務所は北スマトラのメダン市にあり、ディレクターは研究者としても著名なDr. Ian Singleton氏が務めています。
メダン市郊外にQuotontine&RehabiritationCenter(検疫&リハビリセンター)とOrangutanHeaven(オランウータンヘイブン・現在建設中)
を運営します。他にも保護個体の野生復帰地二か所や、研究拠点を複数持っています。
詳しい情報はhttps://www.sumatranorangutan.org/(英語のみ)へ。
マシューご夫妻来日!
では、ここからは、当日の様子を写真多めでレポートいたします。
(レポート担当はスマタパ担当川嶋加奈子にて)
講習会前々日の夜に、マシューご夫妻がスマトラ島メダンから、セントレアへ無事ご到着!
移動の疲れもみせず、にっこり笑顔をみせてくださるご夫妻。
セントレアへは、黒鳥と、スタッフの中村がお出迎え。
まだかな〜。看板気づいてくれるかな〜。
中村手作りのウエルカムボードを手にお二人を待ちます。
無事合流後、名古屋まで移動して、ツリー前でパチリ。
黒鳥も中村もオランウータンを着て明日からの気合もばっちり。
翌日は犬山へ移動して、半日観光日程でした。
犬山城と、犬山城下町を散策。とても楽しんでいただきました。
犬山城下町でランチ。
ランチのメニューはご希望を聞いて、海鮮丼に初トライ。
夢ノートさんにお邪魔しました。
霊長類研究所でのセミナーの後、犬山城下の珈琲ボタンさんで打ち合わせ休憩。
中村が来ているSOCPのオランウータンTシャツは、マシューさんが監修したものだとわかり記念撮影の一コマ^^
このデザインいいでしょう!ほんとグッド!おらけんでも現地にいったときたくさん仕入れてチャリティで販売したことがありますよ〜、
でももうデザイン変わったんだよねー、残念!などなどオランウータンの(?!)話で盛り上がりました。
その後、明日以降の講演会の打ち合わせをしました。できるだけ聴衆のみなさんに伝えたいことが伝わるよう、内容を増やしたり削ったり、、
マシューさんもぎりぎりまでこちらの要望に応えようと、スライドを調整してくださいました。
導入トークをする黒鳥は宿で遅くまで、内容をつめていました。
さて、いよいよ明日から本番です!
SAGA22シンポジウム『おらけんセッション』〜2019年11月16日
いよいよ講習会当日です。
この日に向けて春から企画をたて、夏すぎからスタッフで準備をかさねてきました。成功しますようにと心の中で祈ります。
忙しい一日が始まります。
朝からよい天気です、これはいい一日になりそう!
(SAGA22ポスター)
開場と同時に参加のスタッフ一同で、まずはおらけんブースの設営です。
こちらはおらけんメインブースです。
(右から 金森、那須、中村)
おらけんブースでは、オランウータンの著書や、研究者がボルネオ島で直接買い付けたオランウータングッズや、おらけんオリジナルのレターセット(照麻まみさんイラスト)の販売、募金、情報チラシの配布などを行っています。
おらけんの存在や活動をしっていただくため、可能な範囲でイベントのブース出展を行っています。
用意完了!お立ち寄り、お待ちしてまーす。
今回新しく登場したオランウータン看板。(スタッフ那須が作成しました)
本は、著者が在ブース時はサインもできることもあります。
こちらはもうひとつのブース、おらけんスマタパ部門のセッティング。
今回はスマトラ島のオランウータン講演にあわせて、講師マシューさんが所属するSOCPの活動紹介と、募金と、チャリティTシャツの販売を行っていました。
スマトラ島のオランウータン支援につながる小川珈琲の【オランウータンコーヒー】の紹介も行いました。
このオランウータンコーヒーは、2019年秋から日本モンキーセンターの売店でも購入できるようになりました。
講師マシューさんもモンキーセンターに到着。まずは、中村のアテンドでモンキーセンター内をみていただきました。
ゴリラのタロウさんを観察するマシューさん。
むむ、これは、新しい大型類人猿がモンキーセンターに?!
モンキーセンターの名物(?!)ケージ。
”ヒト”も霊長類です。
にっこり手を振るおちゃめなマシューさん。
園内休憩所で、ランチタイム。
ランチタイムが終わったらいよいよ本番です。
真剣な表情で打ち合わせ中。
おらけんセッションの流れや、連携を確認しています。
そして15時10分すぎ、おらけんセッションがスタート。
開場は最初から立ち見がでるほど満員でした。
セッションの総合司会は金森がつとめました。
最初の演者は、代表の黒鳥。
マシューさん招致の経緯や、SOCPのこと、2月に訪問した時の経験の紹介など、セッションの導入トークを行いました。
日本国内のスマトラオランウータンも紹介。
かなり数が減っている現状があります。
(スライド写真は市川市動物園のイーバン)
SOCPの代表イワンシグルトン氏によるショートムービー「スマトラ島の今」(4分)上映中。
イワン氏からデータをいただき、おらけんで日本語訳をつけたものです。
スマトラ島の現状や保護活動がよくわかる印象的なムービーに会場のみなさんが熱心に見入っていました。
今後も機会があるごとに紹介していきたいと思っています。
15時25分、いよいよマシュー氏の講演がスタート!
タイトルは【Conservation of Sumatra’s Ape Species〜スマトラ島における類人猿の調査研究および保全活動に関する報告】です。
スマトラ島のテナガザルやオランウータンの生態、生息地の環境の変化について、タパヌリオランウータンの生息地を脅かすダム建設のレポート、彼らを絶滅させないためのアイデアなど、熱のこもった講演をするマシュー氏。
スライドは事前に預かり、久世が日本語訳をつけました。
スライドごとに、田島がポイント解説を日本語でいれました。
熱心に聞き入る、満席の聴衆。
質疑応答も活発で、たくさんの視点から質問がでました。
続いて、東山動植物園のスマトラオランウータンの飼育担当者武田氏の講演です。
タイトルは【スマトラ島を訪ねて〜動物園で実践したこと、伝えたいこと】
おらけんスタッフと一緒に訪問したスマトラ島での体験や、その体験を通じて気づいたこと、日本に戻って実践した新しい飼育の試みについての興味深い講演を行っていただきました。
金森よりしめの挨拶
「今日はこのような機会をいただきありがとうございました。講師マシュー氏所属のSOCPへの募金箱を設置しています。募金と一緒に日本からスマトラ島のオランウータンを支援したいという皆さまの気持ちこそを現地に届けたいと思って設置しています。ご協力いただければ幸いです」
SOCPへの募金箱。
講演後たくさんの皆さまが募金にご協力くださいました。
ひとつひとつのご支援に心から感謝申し上げます。
また、チャリティTシャツ(現地で仕入れたタパヌリオランウータンTシャツ)も講演後の販売で、完売いたしました!
(↑完売してなにもなくなった机を記念にパチリ)
おかげさまで【募金:28,038円】【Tシャツ販売金:24,500円】ものご寄付が集まりました。
【総額:52,538円】はすべておらけんからSOCPへ寄付いたします。
スマトラオランウータン・タパヌリオランウータンの保護活動に役立てられます。
日本とスマトラ島の支援の手は現在、ほとんどつながっていないのが現状です。
こうして実際の支援を届けられるのは未来につながるとても有意義なことと考えます。
ほんとうにありがとうございました。
講演会後、熱心な動物ファンの男の子と記念撮影。
この男の子は、講演会後の質疑応答でも質問をしたり、企画展も熱心にみていました。
未来の博士(!!)と笑顔のマシュー氏でパチリ。
おらけんセッション後、企画展前で。
マシューさんと、招致に主に動いた担当黒鳥と川嶋の三人で撮影。
実現した、やったーでがっちり握手。
当日講演会運営一同で。
なにかオランウータンらしいポーズをとのカメラマンのリクエストにより、マシューさんどうしましょう?では足上げてこれで!とこのポーズ。
オランウータンポーズ!…オランウータンポーズ?(笑)
(左から東山動植物園武田氏、おらけん中村、金森、田島、久世、マシュー氏、川嶋、黒鳥)
セッション後もまだまだこの日は終わりません。
続いてポスターセッションです。久世と中村が発表を行いました。
理事の久世のポスター発表
「自然死の可能性が高い、野生オランウータンの遺体発見2例の報告」
中村は「オランウータン臓器の病理学的考察」のポスター発表をしました。
このあと園内で懇親会があり、長い長いそして有意義な1日はおわりました。
東山動植物園講演会〜2019年11月17日
↑東山動植物園講演ポスター
この講演会は東山動植物園とおらけんの共催で行いました。
また、小川珈琲(株)さんの協賛をいただき、 参加者全員にオランウータンコーヒー(5杯分)のプレゼントを提供していただきました。
これを機会にオランウータンコーヒのことを知っていただけたらとのことです。
↑オランウータンコーヒー。パッケージもとてもキュート。親しみをもって手に取っていただけたらとの願いでこのようなキュートなデザインを採用したそうです。
(※上のオランウータンマスコットは商品にはついていません)
現在東山動植物園の北園売店でも、購入することができます。
オランウータン・コーヒーについて…
スマトラ島に生息するオランウータンの保全を目的とした世界規模で展開する「オランウータンコーヒープロジェクト」
2017年春小川珈琲(株)がアジアで初めてオランウータンコーヒーを発売しました。
購入することで、その一部がオランウータン保全団体と生産者支援(森林保護)に役立ちます。
詳しい情報は小川珈琲(株)オランウータンコーヒーのサイトへ
では当日のレポートをはじめます。
この日も快晴でした。
朝は犬山城下のサンデーマーケットに足を運びました。
犬山城を背景にパチリ!
いい写真です。今日もいい一日になりそうです。
思い思いにあさごはん。
その後、名鉄と地下鉄を乗り継いで、、
東山公園前駅に到着。
東山動植物園の正門ゲート前で。
さっそく開場の動物会館へ向かいます。
入り口に設置してある講演ポスター前でぱちり。
11時からの講演にむけて、早速最終打ち合わせ開始。
東山動植物園のスタッフのみなさんともスライドや、マイクの調整を行います。
小川珈琲さんの情報コーナー。
冊子は参加者全員に配布しました。
こちらが、協賛プレゼントのオランウータンコーヒでーす!
講演会後、アンケートと引き換えにお渡しすることに。
(左から豊橋動植物公園の八代さん、平川動物園の森さん。各園のオランウータンの飼育担当。2019年2月のスマトラ視察旅行ご参加のご縁で今回お休みを利用しておらけんのお手伝いいただきました!ありがとうございます)
開場と同時にたくさんの参加者で会場がうまりました。
今日も定員いっぱい満席の参加でした。
満席の会場でした。
アンケートのご回答から、名古屋市内や、東海地区だけではなく、日本全国からも来場いただいていることがわかりました。
スマトラ島や、オランウータンや動物や自然に興味のある方が多く集まっていただき、最初から熱のこもった雰囲気となりました。
今日の総合司会も、昨日につづいて金森がつとめます。
オランウータンコーヒーについて説明する金森。
最初に、東山動植物園副園長の茶谷さんから開会の挨拶。
東山動植物園のスマトラオランウータン飼育の歴史や、オランウータンコーヒーの事、こうして現地のことを知る機会の重要性、動物園の役割など大変印象的な話がありました。
続いて黒鳥が、講師マシューさんの紹介や、スマトラに関して導入のミニトークを行いました。
いよいよマシューさん日本での2回目の講演が開始です。
昨日のSAGAとは一部内容を変えて、スマトラ島に生息する動物の写真などを多用して、動物ファンの方により身近に感じていただける内容にしました。
熱のこもった講演をするマシュー氏。
本日も田島が翻訳者をつとめました。
スライドごとに解説をしたり、質疑応答の翻訳を行いました。
万感の思いで、講演の進行をみつめる黒鳥です。
講演後の質疑応答コーナー。
たくさんの方から質問をよせていただきました!
はい!と手をあげていただいているところ。
時間の限り、ご質問をうけました。
最後まで熱のこもった講演会になりました!
マシュー氏【オランウータンコーヒーは、スマトラ島のオランウータンの保護に役立てられます。収益の一部は私たちSOCPの活動に寄付されます】
講演会後、アンケートと引き換え券に、オランウータンコーヒーのプレゼントをお渡ししました。
引換はこちらでーす。
たくさんの皆さまのご参加ありがとうございました!
このとき回答いただいたアンケートには、講演会を聞いた感想をたくさんよせていただきました。
また2名の方がなんとマシューさんの似顔絵やオランウータンのイラストまで書いてくださっていました!
あたたかなお気持ちがつたわりました。
感想や、似顔絵はまとめてマシューさんご本人にお伝えいたします。
講演後、東山動植物園内を散策。
スマトラオランウータン舎で、アキちゃんと一緒にパチリ!
園内散策中の、マシュー氏と妻のノニさん。
お二人ともフレンドリーで、やさしく、ほんとうに素敵な方でした。
お二人は日本で紅葉を見るのを楽しみしておられて、東山動植物園園内で少しそれがかなってよかったです。
熱心なスマトラオランウータンファンの方と一緒にパチリ。
講演会のあと、園内と駅前で会った時にご一緒に。
(名古屋市在住、木下さん:講演会とてもよかった!!ありがとうとマシューさんに直接話をされていました)
すべての日程が終わりました。
お疲れ様でした!
マシューさんほんとうに日本に来て、素晴らしい講演をしてくれてありがとう。
これが今後につながる一歩にしていきたいと願っています。
講演会運営一同で正門前で記念撮影。
東山動植物園の皆さま、広報からはじまり、当日運営など尽力いただいてありがとうざいました。
当日ボランティアスタッフとして動いていただいたお二人もありがとうございました。
企画展『スマトラ島のオランウータン』
今回の講演会にあわせて企画展示を行いました。
場所と機会を提供いただいた、日本モンキーセンター様まことにありがとうございました。
場所:日本モンキーセンター内ビジターセンター
期間:2019年10月14日〜12月15日
スマトラ島の紹介、またスマトラオランウータン保護の実例(アシャ)を紹介し、その保護活動に関わる団体(OICとSOCP)を紹介しました。
また日本ではほとんど情報がない、タパヌリオランウータンに関しても紹介しました。
写真はすべて現地団体から提供いただきました。
展示の目玉!
スマトラ島の立体模型も作成しました。
スマトラ島の形や、地形、またオランウータンの生息地や、開発の現状を感じていただけるものになりました。
SAGA22当日、SOCPの展示前でマシュー氏と。
マシュー氏はこのSOCPの活動を推進するメンバーです。
展示を熱心に見る観客。
参加型コーナーで、回答中!
FSCってなにかな?もちろん知ってるよ!と頼もしい答えの男の子。
(この男の子は、マシューさんの講演会で質問もした彼ですよ!さすが)
展示をご覧いただいた皆様、ありがとうございました!!
日本モンキーセンターでの企画展は終了しましたが、「スマトラ島のオランウータン」展は今後もどこかで開催していく予定です。
次回開催が決まりましたらまたおらけんWEBなどでご報告します。
見逃したかたは次回の企画展をぜひご覧ください。
これで、講演会・企画展のレポートを終わります。
講演会・企画展にご参加いただいた皆さまありがとうございました。
今後の活動にもぜひご興味とご関心をおよせください。