オランウータンの生活に合わせた調査スケジュール
調査スケジュール
4時半頃 | 起床 |
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5時頃 | 出発 |
5時半頃 | ベッドの下でオランウータンが起きてくるのを待つ |
6時頃 | オランウータン起床 追跡(採食、移動、休息) |
12時頃 | オランウータンのお昼休み(1〜4時間) |
17時頃 | オランウータンがベッドを作る |
18時頃 | 帰宅 水浴び、夕食、データ整理 |
22時頃 | 就寝 |
これが現在、私たちがオランウータンを追跡している時の調査スケジュールです。
オランウータンの行動観察は、朝、オランウータンがベットから出てくるところから始まります。 調査員はオランウータンが起きる前に、ベットの下にたどり着き、彼(彼女)が起きてくるのを、待たなければなりません。
(写真:フタバガキの巨木の森を進む調査助手達)
オランウータンはたいてい、日の出前後の6時頃に起き出しますが、遅い時は9時頃に起き出すこともあります。 この時もいつ起きてくるかわからないオランウータンをひたすら待つわけです。
その後は、移動をして1ヶ所で1時間から数時間採食する、ということを繰り返します。
(写真:樹皮を食べるフランジ雄)
(写真:野生イチジクを食べるフランジ雄)
(写真:オランウータンの糞から検体を採取する田島)
大体お昼頃に、2、3時間程度の休息するのが普通ですが、中にはこの長い休息をとらない個体もいます。
(写真:樹上で休息するitukiという個体)
(写真:樹上で休息するclipperという個体)
さて、オランウータンは昼休みが終わると、また移動と採食を繰り返します。 大体日没前後の18時頃にベットを作って寝ます。 これでやっと一日の調査が終わるのですが、このベットを作る時間がまた調査員を苦しめます。 早い時は17時過ぎにベットを作りますが、遅いと19時近い、なんてこともあります。 18時をすぎると森の中はどんどん暗くなり、ヘッドランプを使わなければなりません。 あたりから聞こえる鳥の声、虫の声もどんどん、夜に鳴く種類に変わっていきます。 そんな中でオランウータンがまだベットも作らずにムシャムシャ食べていると調査助手達は「ベットつくれ〜ベットつくれ〜」とぶつぶつ言い出したりします。
(写真:巣作りをするsheenaという個体)
(写真:下から見たオランウータンのベッド)
そんなこんなで、早朝出発して夜になってからようやく家に戻ります。
調査道具を片付け、サンプルなどを整理した後、交代で水浴びしながら調査助手たちが夕食を作ってくれます。
時々研究者も作ります。全員一緒に夕食をとります。
オランウータン達のある1日
では、ダナムバレイのオランウータン達の生活を実例で紹介します。
左の円は、ウナという30才近いフランジオスの2011年7月15日の様子です。グレーがネストで休んでいる時間、黄色が休息、水色が移動、赤が採食を示しています。
彼らは朝目覚めてから夕方眠りにつくまでのうち、約半分の時間を食べ物を探し当てて食べるという時間に費やしています。
この日、ウナは朝7時半までネストでくつろいだあと、午後2時半ころまでずっと同じ大きな樹に居座って、樹木や若い葉を食べました。
その後少し移動して、3本くらいの樹を巡って採食し、日が落ちる6時前にネストを作って眠りました。
右は、母子の例です。母親リンダと子アチョ(♂)の2008年5月6日の様子です。朝6時過ぎに起きだし、すぐに別の場所へ移動を開始します。移動と休息を細かく繰り返し、 お昼前に沢山実のなった木にたどり着き、2時間程その木で採食した後、1時間休息します。その後も、移動と休息を細かく繰り返して森の中を動いて行き、5時過ぎにはネストを作る場所を見つけて眠りました。